CLTを使いたい!という思いを持つことは、持続可能なチャレンジの大きな一歩です。しかし、プロジェクトの成功には、施主の要望をしっかりとヒアリングし、その要望を優先順位に基づいて整理することが欠かせません。要望の優先順位をつけることで、施主の期待に沿った形で、現実的な範囲でCLTの特性を活かすプロジェクトを進めることができます。
CLTならではの特性
CLT(直交集成版)は、木材の温かみと環境への配慮を兼ね備えた建築材料です。特に木材を多く利用することで、炭素貯蔵量を増やし、環境負荷低減に寄与できる点や、木材の自然な美しさは他の建材では味わえない魅力を提供します。しかし、その特性を最大限に活かすためには、設計段階で十分な準備が必要です。
プロジェクトを成功させるためには、設計から運用までの全体的な視点が大切
CLTを活用する建築物のプロジェクトを進める際に重要なのは、設計から運用までの全体像を計画前に把握することです。このサイトの建築フローや資料を活用いただき、次のような点に留意しましょう。
1. 設計段階での慎重な計画
CLTの特性を最大限に活かすためには、最初から綿密な計画が必要です。用途や規模とそれに付随する法令、材料調達にかかる時間やコストを事前に十分に検討することが、スムーズなプロジェクト運営に繋がります。
2. コストの管理と事業性の検討
CLTは初期投資が高くなることがありますが、環境負荷低減やエネルギー効率の面で長期的な価値があります。コスト面で不安がある場合、補助金の活用等も視野にいれながら、運用時を含めたライフサイクルコスト(LCC)を算出し、事業性の検討を行うことが重要です。
施主の要望を優先順位に基づいて整理する
設計者と施主が初期段階でしっかりとコミュニケーションを取り、要望の優先順位を明確にすることが非常に重要です。特にCLTのような新しい素材を使う場合、施主が抱える希望や不安を整理し、それに基づいて計画を立てることが成功へのカギとなります。
- 要望の明確化
- 施主が最も重視する点は何か、例えば「環境への配慮」「デザイン性」「耐久性」などをヒアリングします。施主がどの要素を最優先としているかを明確にし、それを基にプロジェクトの方向性や建築物のコンセプトを決定します。
- 優先順位をつける
- CLTを使用することで達成できること、また達成が難しいことを踏まえ、施主と共に優先順位を整理します。例えば、環境負荷低減を最優先する場合、それに最も適した設計を提案し、デザイン性やコストとのバランスを考慮しながら進めます。一方で、コスト重視の場合には、必要最低限の仕様でCLTを効果的に使用する方法を模索します。
- 現実的な提案
- 施主が持つ理想的なビジョンを現実的な範囲で実現するために、設計者は技術的な制約やコスト、施工の難易度などを考慮し、施主に適切なアドバイスを提供します。また、CLTに対する不安がある場合は、技術的な裏付けや実績を示し、信頼を得ることが重要です。
木に対する不安感を解消するには
木材を使用することに対して不安感を抱く施主も少なくありませんが、最新技術を駆使したCLTの強度や耐火性能、耐震性に関する理解を深めることで、その不安を解消することができます。設計者は、CLTの防火性能や耐久性を施主にしっかりと説明し、信頼を得ることが重要です。
計画の立案や施主への説明の元になる情報等、最初の段階で必要な検討要素が多いのもCLTならではといえます。当サイトの建築フローや資料、モデルプランをご覧ください。また、専門家への個別相談も随時受け付けておりますので併せてご活用ください!
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