CLTは、その環境への配慮、優れた断熱性能、デザインの自由度など、数多くのメリットを持つ建材です。デメリットとして、経年変化やコストの面での懸念があるかもしれませんが、それらも適切な管理とデザインによって、むしろ魅力的な特性として捉えることが可能です。実際にCLTを活用した建築物の見学や体験談等の情報は、CLTのメリット、デメリットを可視化します。見学や体験談を通じて得た情報をもとに、施主の質問や要望をしっかりとヒアリングし、優先順位をつけて設計に反映させることで、より具体的で安心できる提案が可能となります。
CLTのメリット
- 環境への配慮 CLTは木材を利用しており、建物全体のカーボンフットプリントを低減します。木材は成長過程で二酸化炭素を吸収し、これを建物に固定するため、地球温暖化の防止に貢献します。また、CLTはリユース可能な建築材として検討がすすめられています。
- 優れた断熱性能 CLTは厚みのあるラミナを積み重ねた構造を持つため、優れた断熱性を提供します。これにより、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を実現でき、エネルギー消費を削減することができます。
- デザインの自由度 木材ならではの温かみが特徴であり、柔軟なデザインが可能です。CLTは大きなスパンを実現できるため、広い空間やオープンなレイアウトを創りだすことができます。また、条件によっては、木材の自然な美しさを活かした仕上げが可能で、建物に温もりと独自の雰囲気を生み出します。
- 迅速な施工 CLTは工場で加工されるため、現場での施工が比較的迅速に行えます。パネルがプレカットされて現場に運ばれるため、現場での作業が効率的に進み、工期の短縮につながります。
CLT建築のデメリットとポジティブな捉え方
CLTにはデメリットもありますが、それらをポジティブに捉えることで、より良いプロジェクトに繋げることができます。以下のように、デメリットも適切に管理しながら、CLTの魅力を最大限に引き出せます。
- 経年変化による木材の収縮と膨張 木材は自然素材であるため、湿度や温度の変化に応じて収縮や膨張を起こすことがあります。また、紫外線による色変化も起こします。
- ポジティブに捉える: 経年変化は木材の個性として考えることができます。時間とともに木材は「育っていく」過程を楽しむことができ、自然な風合いや味わいが増していきます。木材の経年変化を意図的にデザインに組み込み、その美しさを最大限に引き出すことが可能です。また、木材はしっかりと管理し、適切な湿度環境を保つことで収縮や膨張を最小限に抑えることができます。
- 防火性と耐久性の課題 CLTは木材を使用しているため、火災や腐朽に対する懸念があるかもしれません。しかし、現代の法令や技術によって、他建材と同等の性能を持つことが可能です。
- ポジティブに捉える: CLTは、木材の特性により、1分で1㎜という一定の速度で燃えすすむため、火災時にも一定の安全性を保つことができます。これにより、建築条件によっては石膏ボード表面に貼る必要がない、現しのデザインを実現できます。
- ポジティブに捉える: CLTは、木材の特性により、1分で1㎜という一定の速度で燃えすすむため、火災時にも一定の安全性を保つことができます。これにより、建築条件によっては石膏ボード表面に貼る必要がない、現しのデザインを実現できます。
- コストの高さ CLTは従来の鉄骨やコンクリート構造に比べてコストが高くなる場合があります。
- ポジティブに捉える: 長期的な視点で見ると、CLTは木材の断熱性により、エネルギー効率等の運用面でメリットがあります。また、CLTは持続可能な資源を使用しているため、環境への貢献度が高く、将来的なエコロジカルな価値を考えれば投資の価値は十分にあります。
CLTの活用を深めるために、実物件を見学する価値
CLTが実際に使用された建築物を見学することで、施主や設計者はその魅力や可能性をより実感することができます。CLTの実際の使い勝手や性能を肌で感じることができるため、プロジェクトを成功に導くためには、見学が非常に重要なステップです。
1.日本CLT協会の利用例や実績を参考にする
日本CLT協会のHPでは、CLTを活用した建築物の事例や実績が紹介されています。これらを参考にすることで、どのような建築物にCLTが使われているのか、どのようなデザインや機能性があるのかを知ることができます。また、実際の事例をもとに、設計の方向性や施主の希望をどう取り入れるかを検討することが可能です。
さらに、CLTを使った建築物のパンフレットや資料を活用することで、より具体的なイメージが湧きやすくなります。これらの資料は施主への説明にも役立ち、デザインの選択肢を広げるための参考になります。
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2.実際に利用している住人の体験談を集める
CLTを使った建築物の住人が実際にどのように感じているのかを知ることは、施主にとって非常に価値のある情報です。温かみのある木材の感触や、湿度調整機能、居住空間の快適さなど、CLTならではの特徴が実生活にどう影響しているかを知ることができます。
施主の質問や要望を再ヒアリングする重要性
実物件の見学や体験談を元に、施主が抱える不安や質問が浮き彫りになります。これらをしっかりとヒアリングし、改めて要望を整理することが大切です。
例えば、「耐震性は大丈夫か」「湿気対策はどうなっているか」「メンテナンスの手間が増えないか」など、施主が気にする点について、実物件見学や体験談を通じて具体的な情報を得ることで、施主の不安を解消しやすくなります。
まとめ
CLTを活用した建築物の実物件見学は、設計者と施主のCLTのメリット・デメリットについての理解を深め、プロジェクト成功への大きな一歩となります。見学や体験談を通じて得た情報を共有し、施主の質問や要望をしっかりとヒアリング、整理を行うことで、CLTならではの特性を活かした素晴らしい建築物を可能にします。