CLTを活用した建築物の事業計画では、従来の建材と異なる特性があるため、特にスケジュール管理や事前準備が重要になります。CLTは環境に優しく、施工期間の短縮やデザインの自由度の向上など、多くの利点がありますが、それを実現するためには、設計から施工、確認申請、補助金申請に至るまでの各プロセスを慎重に計画する必要があります。
1. CLTの納期確認と発注タイミング
CLTは受注生産のため、発注から製造・加工までに約3ヶ月を要します。特に、工場の生産スケジュールや季節による影響を考慮し、早めに発注を行うことで納期の遅延を防ぎ、スムーズな施工に繋がります。
- 季節変動や工場の稼働率
CLTの製造は工場で行われるため、季節変動や他のプロジェクトとの兼ね合いによって、納期が遅れる可能性があります。特に繁忙期には、納期がさらに延びることが考えられますので、可能な限り早期に製造工場へのご相談が求められます。 - 加工図や仕様書の確認
CLTを発注する際には、正確な加工図や仕様書が整っていることを確認する必要があります。CLTはその厚みのために施工現場での加工は難しい場合もあるため、発注までに設備設計等までを決定することがスムーズな施工につながります。これらの資料が整っていない状態で発注を進めると、現場での調整や再加工が必要になり、工期が延びるリスクが生じます。
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2. 確認申請前の事前確認
CLTを使用した建築物には、従来の建材と異なる法的要件が適用されることがあります。建物の規模や用途によっては、CLT独自の特性を踏まえた申請が必要になる場合があります。
- 耐火性や構造安全性の確認
CLTは木材を主な構造材として使用しますが、耐火性を確保するための工法や処理が必要な場合があります。これらの法的要件を事前に把握し、設計段階で対応することで、確認申請の際のトラブルを避けることができます。 - 事前相談での確認
地方自治体の担当部署や建築確認検査機関と事前に相談し、具体的な申請要件を確認することをお勧めします。特に、CLTを使用する場合は新しい技術を用いる場合も多いため、事前に相談をしておくことで、申請時の審査がスムーズに進みます。
3. 確認申請の時間的要素と工期短縮
CLT建築のプロジェクトは、確認申請に通常よりも長い時間を要することがあります。申請の審査に時間がかかることを予想して、スケジュールに余裕を持つことが重要です。一般的な確認申請は1~2ヶ月程度を見込んでおき、特に納まりや構造に関する追加の審査が必要になる場合もあります。
- 工期の短縮が可能
一方、CLTを使用することで、工期の短縮が期待できます。CLTパネルは工場で事前に加工され、現場では組み立てるだけで済むため、施工期間を大幅に短縮することが可能です。これにより、全体のプロジェクトスケジュールが効率化され、最終的な完成時期の前倒しが可能となるケースもあります。
4. 公的補助金の活用
CLT建築に対する公的補助金は、特に環境負荷を低減する建築技術として注目されています。補助金を受けるためには、過去の事例や公募内容、条件を十分に理解しておくことが必要です。
- 過去の採用事例と公募内容の確認
これまでに採用された事例を調査し、どのような条件が求められているのか、応募時期や採用件数はどの程度かなどを把握しておくと、自社のプロジェクトに最適な補助金を選定することができます。また、前年度の公募内容を参考にし、今年度の公募がどのように進行するかを予測することが重要です。 - 補助金申請のタイミングと条件
補助金には事前に必要な書類や条件があるため、公募時期だけでなく、事前に必要な事項について調べ、準備を進めておく必要があります。内閣官房が運営する「CLT活用促進のための政府一元窓口」などで最新の情報を確認し、必要な手続きや審査基準をしっかり理解しておきましょう。 - 次年度の予算確認
補助金の予算や公募条件は年初に発表されるため、次年度の予算が確定した時点で確認を行い、今年度とどのような違いがあるかを調べておきます。予算の確保状況によっては、申請の戦略を変更する必要があるかもしれません。
まとめ
CLTを活用した建築プロジェクトでは、納期の確認から確認申請、工期の短縮、補助金活用まで、計画段階での準備が大切です。特に、CLTの特性を理解し、納期や工期の見積もり、確認申請の時間を確保した上で、補助金の申請に関する情報を事前にしっかりと集めておくことが重要です。これにより、スムーズにプロジェクトを進めることができ、建設費用を抑えつつ、計画通りに進行することが可能になります。事業計画の初期段階からこれらの要素を組み込んでおくことで、成功に繋がるプロジェクトを実現できるでしょう。